2017医療相談会Q&A集③
- TSC学会ファミリーネット委員
- 2017年9月30日
- 読了時間: 4分
前回の茶話会では、参加申込時に受け付けた先生への質問に、聖隷浜松病院結節性硬化症BOARDの岡西徹先生(小児神経科)がご回答をくださいました。
先生のご厚意によりこちらにも当日のQ&Aを掲載させていただきます。
今回で最後となります、「アフィニトール」「検査」「その他」についての質問を抜粋します。
※こちらの情報は名古屋エリア茶話会においての患者さんの相談とそれに対する答えです。あくまでも参考とし、実際の治療においては必ず結節性硬化症の担当医師と十分にご相談下さい。
・アフィニトールのこと ① 日本でアフィニトールがてんかん薬として承認されるのは、具体的にいつ頃か決まっていますか?
A. まだまだ決まっておりません。効果はある程度ありますが、かなり先になるでしょう。
② 去年自閉症の研究を聖隷浜松でやっていましたが、結果はどうでしたか?先生から見て、アフィニトールは自閉症にも効果があると思いましたか?また、効果がない人もいましたか?
A. 一部の患者さんには大変有効です。半分くらいの人には多少効いているという印象です。全然のひともおられます。
③ アフィニトールの服用について注意すべきこと、副作用のことなど教えてください。
A. やはり多いのは口内炎、恐いのは間質性肺炎と免疫不全による日和見感染、B型肝炎活性化(もともともっているひと)です。細かいのはいろいろあります。重篤な副作用はTSCのひとは少なめと考えられています。
・検査のこと ① 軽症の患者の結婚、妊娠、出産は不可能ではないと聞いてますが、現主治医の意向でまだ遺伝子検査をしていません。やはり遺伝子検査の必要性はありますか。
A. 遺伝カウンセリングの話は紙面では出来ません。一般論としてはやることで確率が概ね分かりすっきりします。親が軽症でもこどもが重症の事もあります。かなり繊細な話なので個別でしたほうが良いです。
② この病気は様々な症状を発症する可能性があるので、様々な部分の定期的な検査が必要かとは思いますが、こどもの場合どのぐらいの頻度で検査を行うのがいいのでしょうか。
A. おおむね軽い場合は年1回ずつそれぞれの臓器でやってゆきます。
③ 体も大きくなり様々な検査を同時に効率よくしていただくことは可能ですか?
A. うちの病院だと1日で最大2-3検査くらいです。それ以上詰めては難しいのが現状です。
④ 年齢ごとに、現れる症状について、おおよそのタイミングは、示されてると思いますが、タイミングを外れて症状が現れる事もありますか? 年齢によって、必要な検査、早い段階から受けておくべき検査等はありますか? また、CTなど被爆の影響もある検査以外で、あまり知られていないけどTS患者におすすめの検査等があれば教えてください。
A. やはりなんでも例外があるもので特に早い事もあります。年齢ごとですべき検査も概ね決まっております。おすすめ検査、というのはあまり思いつかないですが当院ではてんかんはとても詳しくできます。
・その他 ① 最近、突然40度の発熱がよくあります。また血尿もあります。結節性硬化症との関連性はないと言われていますが、今後注意していくことなどあれば教えてください。
A. TSCの症状でないのならばあまり気をつける事は無いですが、あえて言うならば熱で痙攣がしやすいことくらいでしょうか。
② 聖隷浜松病院と遠方の他院との連携はしてもらえますか?
A. できるだけやっております。地元で理解のある先生がおられることが前提にはなってしまいます。
③ 小児神経学会総会のトピックス、TSボードの成功の秘訣が知りたいです。
A. 岡西がいろいろ話してまいりました。主にてんかんと発達障害についてです。ボードは当院はうまくまわっておりますが、大切なのは小回りでしょうかね・・・・
④ 男性40歳ですが、肝臓のAMLについて、最大36㎜、他多数あります、数年変化がないので、経過観察の状態です。もし大きくなれば切除か移植になると言われていますが、そうなる前に対処は出来ないものなのか。腎臓にはAMLは無く、嚢胞のみです。胆嚢にも腫瘍があると言われました。10㎜弱くらいで、手術はまだ要らないだろうとのことですが、これも病気が関係しているのでしょうか。
A. 肝臓AMLもやはりmTOR阻害薬は有効だと思いますが、病気自体がめずらしくそれほどエビデンスはないと思います。腎嚢胞はTSCに大変多い合併症です。胆嚢はあまりTSCでは起きないですが、関係無いという断言はできません。胆嚢は一般的な腫瘍の視点でもしっかりみたほうがよいので主治医によくご相談して下さい。
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