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3.一般演題②

座長:香川県立中央病院 脳神経外科 診療課長 市川智継

鳥取大学医学部付属病院に通院する結節性硬化症患者の傾向

 

鳥取大学医学部4年 池元 杏/千代 悠人

【背景と目的】結節性硬化症(TSC)はTSC1、TSC2遺伝子異常に伴う常染色体顕性遺伝の疾患である。脳、網膜、肺、腎臓、皮膚などの臓器に過誤腫や、皮膚白斑、てんかんも、結節性硬化症関連精神疾患(TAND:精神発達遅滞や発達障害)を年齢ごとに発症する。診断を早く正確に行うことは治療やTANDへのリハビリ対応を改善しうる。本研究ではTSCの診断に至る臨床症状の特徴や診断経緯と、TANDに関連する症状とその相関を明らかにする。

【方法】鳥取大学医学部附属病院に履歴のある54人のTSC患者の臨床情報をカルテにて後調査した。TSCの診断に至った臨床症状と経緯を臓器別に分類し、またTANDと関連が強かったてんかんとの相関についてFisher直接確率検定を用いて解析した。

【結果】TSCを疑い始めた時期と症状として、乳児期以後のてんかん発作(61%)、乳児期以後の皮膚症状(21%)、胎児期に心横紋筋腫(15%)が多く、それぞれ頭部画像、皮膚科医診察、胎児/新生児スクリーニングエコーが確定診断につながった。てんかんが無かった患者のTAND発生率24%に対して、点頭てんかん発症者では82%(p<0.01;オッズ比15.2)、その他のてんかんの発症者では65%(p<0.05;オッズ比6.0)と有意に高かった。

【結語】てんかん、皮膚症状、心横紋筋腫が診断のきっかけになり、スクリーニング検査や疑い後の受診・検査が確定に繋がった。TANDはてんかんと相関が強く、てんかんのある児は知的障害や発達障害への対応を早期に行うべきである。

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