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2.共催セミナー(ノーベルファーマ株式会社・テーマ:長期の視点から見た皮膚症状)

座長:東北大学小児科 准教授 植松 貢

長期経過で考える結節性硬化症の皮膚病変とその治療について
 

講師:鳥取大学医学部附属病院皮膚科

准教授 吉田 雄一

 結節性硬化症(Tuberous sclerosis complex, TSC)は全身に多彩な症状を呈する遺伝性の疾患であるが, ほとんどの患者に皮膚病変の合併が見られる. 皮膚病変としては, 脱色素斑(葉状白斑), 顔面の血管線維種, 前額部線維性局面, 爪線維種(ケーネン腫瘍), シャグリンパッチなどがあり, TSC患者のQOLを著しく障害する. 特に顔面の血管線維腫は年齢とともに増数・増大するため, 整容的に大きな問題となり, 社会生活を営む面で治療が必要である. 以前は外科的切除(炭酸ガスレーザーを含む), 冷凍凝固術などによる姑息的な治療が行われていたが, ほとんどの例で再発が見られ, 術後の瘢痕形成も問題であった. 
 約10年前にTSCの腎血管脂肪腫, 上衣下巨細胞腫などに対して国内でmTOR阻害薬が承認されたが, 皮膚病変に対する効果は乏しかった. また, 有害事象のリスクを考慮すると局所治療薬が必要不可欠であり, mTOR阻害外用薬の開発が行われた. 2018年にmTOR阻害外用薬はその有効性が認められ, 本邦で世界に先駆けて上市された. 
 近年TSCの早期診断により軽症例の患者も増加傾向にあり, 皮膚病変の早期治療も極めて重要になってきている. 当施設ではTSCを診療する上で, 多診療科によるチーム医療が行われており, 主にmTOR阻害外用薬による治療を行った皮膚病変の長期経過について述べる.

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