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1.結節性硬化症について患者ご家族/初学者向けショートレクチャーズ

1.結節性硬化症について患者ご家族/初学者向けショートレクチャーズ③

座長 信州大学医学部内科学第一教室 特任講師 林田美江

腎臓のお話

(結節性硬化症随伴腎病変の最新情報)

講師:JR東京総合病院 泌尿器科
部長 波多野 孝史

 

 結節性硬化症(TSC)に伴う小径腎血管筋脂肪腫(AML)に対するエベロリムスの効果について解説する。

【背景・目的】TSCに対するエベロリムスの適応拡大により、TSC随伴病変に対する治療方針が大きく変化している。ITSCCCのガイドラインでは長径3cm以上のAMLに対しエベロリムス治療が推奨されている。しかし3cm未満の症例であっても、SEGAやてんかんの治療目的にエベロリムスが投与されることも決して少なくない。今回我々はTSCに伴う小径AMLに対するエベロリムス治療の効果および安全性について検討した。

【対象・方法】当科にてエベロリムス治療を施行した最大径3cm未満のTSC-AML 20例を対象とした。各症例において治療効果、有害事象を後方視的に解析した。治療効果は3~6ヵ月毎に腹部CTもしくはMRIを施行し腫瘍体積縮小率を計測した。

【結果】症例の年齢中央値は16歳(9~26歳)、男性9例、女性11例であった。エベロリムス治療により全例AMLは縮小し、CR 30%、PR70%、SD 0%で、最大縮小率の平均は79%であった。有害事象は全例に認められ、主なものは口内炎65%、咽頭炎35%、不規則月経18%であった。

【考察】小径TSC-AMLに対するエベロリムス治療は著効を示した。早期からの治療開始はAMLの完全消失を期待でき、エベロリムスの新たな治療選択肢のひとつになる可能性がある。

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