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3.研究発表TSC patient flow study

座長:東京大学 大学院医学系研究科 国際保健学専攻 発達医科学分野 名誉教授 水口雅

レセプトデータに基づく結節性硬化症診断前後における患者フローの検討


講師:鳥取大学脳神経小児科

准教授 岡西 徹

【背景】結節性硬化症(TSC)は、病変が多臓器に経時的に出現する遺伝性希少疾患である。できる限り早期に診断し、診断後はフォローアップ検査を適切に行うことで随伴病変を早期発見することが重要である。そのためにTSCの診断・治療には診療連携が必要である。しかしながら、これらの診療の流れの実態を調べた報告はこれまでに少ない。今回、大規模レセプトデータを用いて、TSC患者の確定診断に至るまでのフローを検討し、診断までに要した時間(TTD)とフォローアップ検査の実態を調べた。

【方法】2005年から2020年までのJMDCレセプトデータベースを使用した。TSC確定診断および診断時の年齢により分析対象集団を設定し、TSC診断までの症状発現の傾向を主要評価項目、TSC診断後のフォローアップ検査の実態を副次評価項目として検討した。

【結果】主要評価項目の分析対象者は106名、副次評価項目の対象は515名であった。てんかん、知的障がい、腎病変を有する患者の中には、TSC診断までに最大45ヵ月要するケースがあった。フォローアップ期間における検査の実施率は、2020年においてCOVID-19流行の影響により、大幅な低下が認められた。また、TSC Boardの設置病院での検査実施率は、他の医療機関と比較して有意に高率であった。

【考察】今回の解析により、TSC確定診断までに長期間を要する患者群が存在していた。これらの背景要因の探索を行うことにより、診断に要する期間を短縮できる可能性がある。TSCに対する診療連携およびTSC Board設置病院への受診率の向上によりフォローアップ検査の適切な実施に繋がっていることが示唆された。

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