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2・康本徳守記念結節性硬化症関連神経難病研究助成演題①

座長:東京大学 大学院医学系研究科 国際保健学専攻 発達医科学分野 名誉教授 水口雅

結節性硬化症に伴う自閉スペクトラム症への行動療法による効果とメカニズムの解明


演者:古田島浩子

東京都医学総合研究所 精神行動医学研究分野 依存性物質プロジェクト

 

 

 本研究は野生型マウスとのペア飼育をヒトにおける自閉スペクトラム症(自閉症)の療育に見立て、結節性硬化症(TSC)モデルマウスの自閉症様行動に対するペア飼育の効果を検討した。またそのメカニズムとして、遺伝子の後天的修飾であるDNAメチル化を解析することで、自閉症の根本治療を実現するための基盤情報を得ることを目的とした。マウスを3週齢から次のパターンで飼育した。パターン1: 野生型-野生型(ww-w)、 パターン2: 野生型-Tsc1+/- (wh-w、wh-h)、 パターン3: Tsc1+/--Tsc1+/- (hh-h)。12週齢以降に行動テストを行いゲノムワイドにDNAメチル化を解析した。ww-wに対してhh-hは社会性行動時間の減少を示したが、wh-hはhh-hに対して有意に社会性行動時間が増加し、野生型とペア飼育したTsc1+/-は社会性行動が改善することが見出された。メチル化パターンを算出したところgenotypeやペア飼育によってメチル化をうけるパターンが異なる可能性が示唆された。さらに、hh-h/ww-wとwh-h/hh-hにおいて共通し、なおかつメチル化状態が逆方向を示す遺伝子を抽出したところ、発達やタンパク質結合に関与することが見出された。これらのことから自閉症の社会性行動障害の改善にDNAメチル化が寄与することが示唆された。

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