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1・特別講演(テーマ:発達障がい)

座長:鳥取大学脳神経小児科 准教授 岡西 徹

行動上の問題への機能的アセスメントに基づく対応

~『なぜそれを行うのか』を知ることで改善できる療育の考え方~


 

講師:鳥取大学大学院医学系研究科

臨床心理学講座 教授 井上 雅彦

 

 結節性硬化症のある方の中で攻撃的行動や自傷行動のある割合は、それぞれ13~58%、10~41%といわれています。これらの行動は、単にしかったり、注意したりするだけでは改善が困難で、強い刺激による叱責や抑制的な方法はむしろ逆効果になるとされています。これらの問題行動の要因として、知的発達症(知的障害)や自閉スペクトラム症、ADHDなどの関連、いくつかの臓器の痛みからくる行動指標の関連など様々な指摘がなされています。

 現在、これらの行動の治療に対するエビデンスとして応用行動分析学による「機能分析的アプローチ」があります。これは、問題行動がどんな状況で生じているのか、その行動が生じた後にどうしているか、を評価し、生じなくてすむための環境調整や問題行動の代わりとなる行動を積極的に教えていくというものです。

 その行動がどんな状況で起こりやすいか、ということを調べることによって、その行動がその個人にとってどのような意味があるかを推定することができます。例えば泣き叫びながら顔を引っかくという自傷行動が、物を手に入れたいという場面で生じていれば、それは「~がほしい」という要求の機能を持つと考えられます。またその行動が暇でかまってほしい場面で生じれば、注目要求機能を持つかもしれませんし、嫌な作業をさせられる場面で生じれば回避機能を持つかもしれません。問題行動といわれる行動の意味を知ったうえで、つまり彼らの行動を理解した上で、環境を調整したり、代わりになるコミュニケーション行動や余暇を教えていくことが大切です。

 

 

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