共催セミナー(ノバルティスファーマ株式会社)②
テーマ:TSCの医療スクラム~小児科と成人科の強みを活かして~
座⾧:金沢医科大学ゲノム医療センター 新井田 要
神戸大学におけるTSCに対するエベロリムス投与の実際
講師:産業医科大学医学部 泌尿器科学講座
准教授 原田 健一
TSCに対する治療は, それまで中心であった対症療法に加えて, エベロリムスによる全身療法が使用可能となったことにより, 大きな進歩を遂げたといえるが, 実際の医療現場において, 主治医の分子標的薬であるエベロリムス投与経験の不足が, 投与促進の大きな壁となっていることは否めない. 泌尿器科においては, 2010年の保険収載以降, 転移性腎癌に対するエべロリムスの投与経験を豊富に有しており, エべロリムスが適応拡大となったTSC治療においても, 泌尿器科医が果たす役割は大きいと考えている.
本セッションでは, 成人患者に対するエべロリムス治療について, 腎病変への経験を中心に, 血中濃度測定の意義を考察したいと考えている. すでに臨床試験において示されているように, てんかんにおいては, ある程度のエべロリムス血中濃度が維持されないと, 効果が減弱することが示されているが, 腎血管筋脂肪腫(AML)においては, エベロリムス減量投与により血中濃度が非常に低い状態においても, 一旦縮小した腫瘍の増大は認めないことを経験している.
また, エべロリムスの副作用の中でも重篤に至る可能性が指摘されている間質性肺炎についても, 神戸大学での成人患者に対する経験において, 比較的発現頻度が低いことを述べさせていただく予定である.
本セッションが, 現在あるいは将来的にTSC診療にかかわる先生方あるいはTSC患者さんにとって大いに参考になる議論となることを願っている。
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