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共催セミナー(ノバルティスファーマ株式会社)①

テーマ:TSCの医療スクラム~小児科と成人科の強みを活かして~

座⾧:金沢医科大学ゲノム医療センター 新井田 要

結節性硬化症に伴うてんかん治療におけるエベロリムス血中濃度と多施設連携


講師:NHO静岡てんかん・神経医療センター

小児科/副院長 今井 克美

 

 結節性硬化症に対するエベロリムス(EVL)使用がわが国で承認されたのは2019年で、今年で3年目になる。海外では結節性硬化症における腎や脳の腫瘍のみへの承認であるのに対し、わが国では結節性硬化症という疾患に対して承認されたのは特筆すべき点である。結節性硬化症は、心臓、肺、皮膚、てんかん、知的・行動・発達・精神などにも病変や症状を伴うことがあり、好発年齢は異なるものの新生児から高齢者まで多臓器病変に対する備えと対応が必要であり、EVL使用による様々な効果が期待されるところである。一方、EVLには口内炎、間質性肺炎、免疫抑制など特有の有害事象があり、どのような患者に、どの時期に、どの程度の用量で、いつまで、EVLを使用するかなど未解決な問題も多く残されている。

 結節性硬化症による多臓器病変とEVLによる多臓器有害事象の双方に迅速かつ適切に対応するには複数科の診療連携強化は欠かすことはできないが、一つの病院ですべての臓器を乳児から高齢者まで十分な医療水準で対応することは必ずしも容易ではなく、複数の病院による複数科およびキャリーオーバー診療連携は重要な選択肢である。

 小児神経科、脳神経内科、精神科、脳神経外科があり乳幼児期から高齢者までの神経症状に対応可能な国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターは、小児のほぼすべての疾患に対応可能な静岡県立こども病院、成人期以降のほぼすべての疾患に対応可能な静岡県立総合病院とともに静岡TSC(Tenkan, Sougou, Codomo)チームを2016年に結成し、速やかかつ気軽に連携できる体制を構築している。いずれも静岡市内の公的病院として活動しており、互いに2km以内に位置し、各病院にイニシアチブを取る医師のいたことが、スムーズにチームを構成・運営できた要因と考えられる。全国各地でも、得意な分野の診療だけでなく、複数病院間のネットワーク構築が望まれる。

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